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2026.05.08
前回は、ST(言語聴覚士)についてご紹介しました。
今回の記事では、STの視点から、コミュニケーションの中でよくみられる困り事のひとつである「声の大きさ」についてご紹介します。
【 声の大きさ 】
・「大きな声、出し過ぎ!どうしてそんなに大きな声でおしゃべりするの?」
・「もう少し小さい声で話そうね」と何度伝えても、なかなか伝わらない…。
・「“小さい声”って、どうして分からないんだろう?」
など、「声の大きさ」を伝える場面での“困ったあるある”はたくさんあります。
そもそも、「声の大きさ」とは何でしょうか?
大きな声を出すことは、いけないことなのでしょうか?
例えば、発表する時には大きな声が必要ですし、夜間や周囲が静かな場所では小さい声が適しています。
つまり、声の大きさは「場面に応じて使い分けること」が大切だと言えます。
しかし、「周りをよく見て判断しようね」と伝えても、子どもたちにとってはとても難しいことです。
それが簡単にできれば、苦労はしませんよね。
さらに、声の大きさの感じ方は人それぞれ異なります。
そのため、子どもたちに“声の大小”を分かりやすく伝えることは、実はとても難しいのです。
そこで今回は、声の大きさを伝える際のちょっとしたポイントをご紹介します。
日常生活を一緒に過ごす中で、「こんな方法もあるんだな」と楽しみながら試してみてください♪
【 Point①:大小比較 】
「パパの靴は大きい」「ぼくの靴は小さい」など、実物を見て“大小”を比較することはできますか?
見えるもの(実物)の比較が難しい段階では、目に見えない“声”を比較することはさらに難しくなります。
また、他者の声は客観的に聞くことができますが、自分の声は「自分で出した声を覚えておく」必要があるため、難易度がぐっと上がります。
もし難しい場合は、まず「大きいもの・小さいものみ~つけた」ゲームをしてみましょう!
例えば…
など、身近なものの中にも比較できるものがたくさんあります✨
さらに、
などへ発展させるのもおすすめです。
家族みんなで探してみると、楽しく取り組めるかもしれません♪
【 Point②:真似っこ 】
ここでいう“真似っこ”とは、「声の真似っこ」です。
大人が小さい声で話した時に、同じように小さい声を出すことはできますか?
真似っこが難しい段階では、「1の声はこんな声」「5の声はこんな声」と説明しても、なかなかイメージが伝わりません。
そんな時は、まず大人同士で真似っこしている様子を見てもらうのがおすすめです。
「こうやって真似するんだ」と客観的に理解しやすくなります。
また、子どもたちの声量に合わせて、大人がリアクションを変えてみるのも楽しい方法です。
こうしたやり取りを通して、相手の表情を見ることや、真似をする楽しさにも繋がっていきます。
【 録音や音声機能を使ってみよう! 】
スマートフォンやボイスレコーダーを使って、お互いの声を録音してみるのもおすすめです。
一緒に聞き返すことで、「どっちの声が大きいかな?」「聞きやすいのはどっちかな?」と客観的に確認することができます♪
また、Siriや音声検索、音声入力などの“音声認識機能”も、楽しみながら活用できます。
実は、声が大きすぎても小さすぎても、うまく認識してくれないことがあります。
大人がお手本を見せたり、検索した動画を一緒に見たりした後に、「同じように話してみてね♪」と促すことで、“場面に合った声”を体感しやすくなります。
自分の声を認識して、検索した動画が表示されると、子どもたちのテンションも上がりますね✨
※操作方法は秘密にしておいた方がいいかもしれません…😏
【 イラストを使って「見える化」してみよう! 】
大小比較や真似っこができるようになってきたら、次は“声の大きさの見える化”です。
人や動物のイラストに数字を組み合わせた「声のものさし」のような教材は、インターネットでも無料で見ることができます。
ただ、「どんなイラストがいいんだろう?」「どう使えば分かりやすいんだろう?」と悩むこともありますよね。
そんな時は、ぜひ“好きなイラスト”を使ってみてください!
好きなキャラクターや動物だと、自然と興味や意欲が高まりやすくなります✨
色を変えたり、キャラクターの表情を変えたりしながら、オリジナル教材を作るのも楽しいですよ♪
【 イラストと声を一致させよう! 】
まずは、大人がイラストを見せながら、「5の声はこんな声」「1の声はこんな声」と実際に声を出してみます。
その後、子どもたちにも真似っこしてもらい、“イラスト”と“自分の声の大きさ”を一致させていきます。
すると、「もう少し小さい声でね」という言葉だけよりも、イメージが伝わりやすくなります。
【 日常生活の中で使ってみよう! 】
実際におしゃべりしている場面で、「今の声は何番かな?」「今の状況だと、何番くらいの声が合っているかな?」とイラストを使いながら一緒に考えてみましょう。
場面によって適した声量は変わるため、最初は戸惑うこともあります。
でも、「今は静かな場所だから小さい声なんだね」「外だから少し大きめでも大丈夫だね」と理由を繰り返し伝えていくことで、少しずつ気づきに繋がっていきます。
【 まとめ 】
声の大きさをコントロールすることは、とても難しいことです。
イラストと声を一致させることができても、すぐに“場面に合った声量”へ結びつくとは限りません。
それでも、子どもたちと一緒に試行錯誤する中で、新しいコミュニケーションや気づきがたくさん生まれます。
また、イラストの有無に関わらず、「今、伝えても大丈夫かな?」「この方法なら伝わるかな?」と、相手の様子を伺い、心に余裕を持ちながら関わることも大切です。
ゲームやクイズのような“遊びの延長”として取り組むことで、声量調整も楽しく学ぶことができます♪
ぜひ、楽しみながら笑顔で取り組んでみてくださいね(*^^*)
執筆者:障害児入所施設おかば学園 ST 森本 恵梨奈
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#声の大きさ#ST#言語聴覚士